シーケンス制御講座

ラダー図の読み方
(不具合原因調査)

シーケンス制御講座 初級編 ラダー図の読み方(不具合原因調査)

このページではラダー図を使って設備の不具合個所の探し方を学べます。工場などで保全業務を行っている方でまだラダー図の読み方がわからない方は、このページで学習していただくと読み方のイメージがつかめると思います。

作成日:2020年01月10日
更新日:2022年12月25日

動画での説明

設備が突然停止した。さっきまで動いていたのに何があったのか?設備を保全する人はこのような事態に遭遇すると思います。しかもほとんどが目の前で発生するのではなく、発生した後に呼ばれることが多いと思います。 基本的なことですが、設備を保全する人は設備が何をしているのか、どのような動作をするのかなどの情報はあらかじめ知っておく必要があります。そうしないと修理するにしても何が正しい動作なのかわからないからです。

不具合の内容(解説用)

まず最初に次のような動作をする設備があると仮定します。単純に製品を左から右に運ぶだけの設備です。

搬送用の爪が前進します。

前進端まで行くと前進端のリードスイッチ(シリンダセンサー)がONして、次は右方向へ搬送します。

搬送端まで行くと同じように搬送端のリードスイッチがONするので、搬送完了となり待機位置へ戻ります。

正常であればこのように製品を搬送します。では設備が突然停止した場合を考えます。例えば正常であれば搬送の爪が前進した後に右に動作しますが、搬送爪が前進した後に右に動作しない場合を想定してみましょう。

原因を探す作業

今回はあらかじめ「爪が引っ掛かっている」などの原因がわかっていますが、実際はすぐに原因はわかりません。なぜ動かなくなったのか、原因を探す作業になります。
まず最初に行う作業は本当に出力が出ているか?です。出力が出ているのにシリンダが動作しない場合はシリンダ本体や、シリンダを動作させる電磁弁という機器が故障していないか調べる必要があります。右側へ搬送させる出力は「Y102」です。実際に出力されているか見てみましょう。

「Y102」はONしていません。次に「爪が前進する」という前の動作を確認します。前進用のコイル「Y100」はONしています。つまり前進動作までは行っていますが、その後に何かがあったと推測できます。ではなぜ「Y102」はONしないのでしょうか?「Y102」をONさせる接点は「M1053」か「M2412」です。この「M1053」はコメントで「手動」と書いてあるので、これは手動操作で個別に動作させる接点です。今回は自動動作の問題なので手動操作は無視します。もちろんこれはコメントなどが正しく書いてあり、この接点が「手動専用」の場合に限ります。もしコメントなどで判断できなければ両方の接点を調べていく必要があります。

調べ方ですが、モニタモードか読出モードにして、調べたい接点の上にカーソルを移動して「エンター」キーを押します。今回は「M2412」の上にカーソルを置いて「エンター」キーを押します。

するとすでに「M2412」が入力された検索BOXが表示されます。この状態で「エンター」キーをおすと「M2412」の接点やコイルを順番に表示していきます。今回はこのコイルを表示させたいので、「F7」キーを押して左側の選択領域にコイル記号を入力します。この状態で「エンター」キーを押すと「M2412」のコイルのみ検索します。この検索方法はモニタモードや読出モードでのみ使えます。書込モードやモニタ書込モードでは入力BOXになるので注意してください。

「エンター」キーを押すと「M2412」のコイルに移動します。ラダー図の書き方は人によってさまざま(違う)ですが、今回の回路で行くと「M2412」がONしない原因は「M250」がONしていないということです。まずこの回路のブロックの1つ上に「M2411」があります。この「M2411」で搬送爪を前進させます。すると次は「M250」がONすると「M2412」がONして搬送爪が右方向に移動します。もうコメントを見れば原因はわかるのですが一応「M250」のコイルを調べます。

「M250」のコイルに移動すると「M200」がONしていないことがわかります。ここで注意することは、このような書き方のラダー図ですが、前進端のリードスイッチがONしていないか、後退端のリードスイッチがOFFしない(壊れて常時ON状態になる)場合に発生します。これはリードスイッチがちゃんとON/OFFしているのか確認するために、このような書き方をする場合があります。一応「M200」のコイルも見てみましょう。

搬送爪前進端の「X100」が実際にONしていないことがわかります。シリンダセンサーが壊れたか、何らかの原因でONできないことがわかります。場所が特定できたのでここから実際に修理を行う流れになります。

今回は出力部分から異常個所を追っていく方法を解説しました。これは原因特定の基本的な流れなので必ず覚えてください。実際にはこの程度の不具合であれば慣れた方なら見ただけで異常個所を特定できると思います。


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