シーケンス制御講座

データレジスタ

シーケンス制御講座 中級編 データレジスタ

PLCではデータレジスタというデバイスを扱えます。ほかの名称のデバイスもありますが、基本的には数値を扱えるデバイスです。データレジスタがどのようなものか見ていきましょう。

作成日:2015年01月10日
更新日:2022年12月26日


データレジスタとは

データレジスタとは数値データが扱えるワードデバイスです。初級編で説明した「M0」のようなビットデバイスはONかOFFしかありません。それに対してデータレジスタは、例えば「D0」の中に「10」という数値を保存したりできます。そのため「D0」がON、みたいな動作はありません。※条件をつけて接点のように動作させることは可能。

例えば[MOV K10 D0]とすれば、「D0」に10進数で10を書き込みます。10進数とは10で桁が上がる数値、つまり普通の数値です。K10が10進数で10の値です。H10とすれば16進数で10の値となります。普通はKを使います。

この10という数値が入った「D0」はどのように使うのでしょうか?例えばタイマに使えます。
(T10 D0)で使えます。この場合1秒タイマになります。

このようにしておけば、「X10」か「X11」が入れば「M100」で自己保持をかけます。そして自己保持を解除する「T10」があります。この「T10」の時間を変更しているのです。つまり「X10」で「M100」をONするのと、「X11」で「M100」をONするのでは、切れるまでの時間が変わってきます。

後で説明しますが、プログラムの順序に注意してください。上の例では[MOV]命令を最後に持っていくと、へんな動きをすると思います。

データレジスタの使用範囲

データレジスタでは数値を扱えますが制限があります。値が「-32768~32767」の範囲でしか使用が出来ません。理由は、データレジスタは16個のビットで成り立っているからです。もっと簡単に説明すると、データレジスタは16個のコイルで成り立っています。そしてそのON、OFFの組み合わせで数値と認識しています。そして一番左のビットは、正か負をあらわしています。

しかし、この範囲以上の値を使用したいときがあります。その時は「ダブルワード」で使用します。ダブルワードはデータレジスタ2個を1セットとして32ビットで使用します。ダブルワードで使用すると、-2147483648~2147483647までの値が使用できます。使用方法も簡単で、命令の前に「D」をつけるだけです。

[DMOV K100 D0]

これで「D0」と「D1」の2個のデータレジスタをダブルワードで使用します。注意しないといけないのは、ダブルワードといっても、指定した命令の部分だけがダブルワードになるだけです。元の「D0」と「D1」というデバイスが合体するわけではありません。元のデータレジスタの組み合わせでそのように表示させているだけです。そのためダブルワードで指定したら、そのデータレジスタは今後ダブルワードで使用する必要があります。
※ダブルワードで指定して0~32767の範囲であればシングルに戻しても問題はありません。記号の位置が変わるので、マイナス値は記号がなくなります。またダブルワードからシングルワードに変換する命令もあります。

接点比較命令

次はデータの比較でデータレジスタを使用してみます。

このように書けば「D0」の値が5以上になれば「M100」がONしますし、10より小さい場合は「M101」がONします。「D1」の内容と比較したりもできます。上の回路のように等符号を使用して書くと、接点のように動作させることもできます。このような書き方を「接点比較命令」と呼びます。先頭に書いてある「M8000」は特殊な接点で、シーケンサーがRUN状態のときは常にONしています。(FXシリーズのシーケンサー)そのため特に書く必要はないのですが、プログラムを組む人にもよります。私は書きます。同じ動作をまとめたりもできます。まあ見た目の問題ですが。

データレジスタの使用例

最後にデータレジスタの内容を変化させて見ましょう。

特に何でもない回路です。何かの動作をするわけでもありませんが、説明用に作ってみました。まず「M8013」なのですが、これも特殊な接点で1秒周期でON、OFFを繰り返します。このようにシーケンサーには最初からある特殊なリレーがたくさんあります。簡単に使用できますし、ぜひ使ってみてください。メニューの「ヘルプ」→「特殊リレー/レジスタ」から表示できます。

上のイラストでは「M8013」が1秒周期でONしたりOFFしたりします。その後の「INCP」は値を1ずつ追加する命令です。「INCP」の最後の「P」はパルスです。つまり「INC」命令が実行された一回のみ「D10」に値を追加しています。この「P」がないと、パルスとして実行しないため、毎スキャン1を追加してしまいます。シーケンサー内でプログラムが回転するだけ値を追加するということです。0.5秒実行しても、かなりの数を追加すると思います。

その次は、「D10」の値が100になったら「MOV K0 D10」となっています。これは0の値をD10に書き込むということです。つまり「D10」の値が100になると、「D10」の値を0に戻して再びカウントを行うということです。

ここで重要なのは、「D10」の値が100になると動作を実行すればいいのに、100以上とプログラムはかいてあります。この規模のプログラムなら特に問題はないのですが、大規模なプログラムになると、ほかの要因やプログラムミスで「D10」の値が突然100を超えるかも知れません。100=D10という条件であれば、「D10」の値が100を超えてしまったら復帰することができなくなります。そのため100以上という条件にしています。

又、プログラムの仕様にもよりますが、この場合のMOV命令はパルス化しないほうがいいと思います。プログラムには必ずバグや予想外の動きが発生します。そのときの逃げ道を作ることも大切なのです。



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