シーケンス制御講座
シリンダとセンサーを使った簡単なラダー回路を実際に製作しながら解説します。PLSパルス命令、タイマー(T0・T1)、自己保持、歩進制御など実践的なラダー図の作成方法を、動作内容から出力回路まで順を追って習得できます。
【このページのポイント】
- PLS命令でボタンの立ち上がりを1スキャンのみ検出し、2重動作を防ぐ
- タイマーは「F7」キーで入力し「T0 K5(=0.5秒)」のように時間を設定する
- 歩進制御でシリンダの動作順序(前進→確認→後退)を管理する
- 自己保持でワーク検出状態を記憶し、後退完了後にランプを点灯させる
作成日:2012年04月03日
更新日:2026年05月18日
- 動画での解説(簡単な回路製作)
- 動作内容(シリンダ・センサーの仕様と動作フロー)
- 配線作業とプロジェクトの準備
- 回路前半(PLS命令・タイマー・歩進制御)
- 回路後半と出力部分(ランプ点灯・サイクル完了)
- よくある質問(FAQ)
動作内容(シリンダ・センサーの仕様と動作フロー)
GX Works2とGX Developerの基本操作を習得したところで、実際にラダー回路を製作してみましょう。今回はシリンダとセンサーを使った実践的なサイクル動作の回路です。
設備の構成は、シリンダがあり、前進端・後退端のシリンダセンサー、先端にワーク検出センサー、そして押しボタンスイッチがあります。このシリンダを前進させてワーク(対象物)の有無を確認します。
押しボタンスイッチを押すとシリンダが前進します。シリンダ前進確認はシリンダセンサー「X2」で行います。
シリンダが前進した後、先端センサーが反応しない場合はそのままシリンダは後退します。もしワーク(物)があった場合、シリンダ先端のセンサーが反応します。
シリンダが前進して一定時間経過すると確認終了としてシリンダを後退させます。
後退後、シリンダの先にワークがあった場合(先端センサーが反応)はシリンダ後退後1秒間ランプを点灯させます。ワークがない場合は点灯させません。
この動作を1サイクルとし、ボタンを再度押せば繰り返す仕様にします。ただしボタンを押し続けた場合は2回目の動作をさせないようにします。ポイントは、ワークの有無にかかわらずシリンダを後退させてサイクルを完了させることです。そのためシリンダ先端センサーは後退条件には使えません。
配線作業とプロジェクトの準備
まずはPLCへのI/O配線を行います。詳しい配線方法はPLCへの配線方法を参照してください。I/Oの割付は上のイラストの通りに行ってください。
GX Works2またはGX Developerを起動してプロジェクトを新規作成します。CPUタイプは接続するPLCに合わせて選択してください。ここではFXシリーズを選択します。
回路前半(PLS命令・タイマー・歩進制御)
前半部分はボタンを押してからシリンダが前進し後退するまでの動作を制御する回路です。
まず「X0」(押しボタンスイッチ)を押すと「PLS M0」が実行されます。PLS(パルス)とは、「X0」の立ち上がり1スキャンのみ「M0」をONする命令です。つまりボタンを押した瞬間だけM0がONします。これにより「ボタンを押し続けても2回目の動作をさせない」という制御が実現します。入力方法は「F8」キーを押して「PLS」と入力し、スペース後に「M0」と入力してEnterを押します。
なお、PLS M0をコイル(M0)に変更すると、ボタンを押し続けた場合に連続動作してしまいます。
ラダー図の表記として、「[PLS M0]」のように「[]」で囲んだ部分は特殊命令(応用命令)です。「(M0)」のように「()」で囲んだ部分はコイルです。混同しないよう注意してください。
「M0」は一瞬しかONしないため、「M1」で自己保持をかけます。この「M1」のコイルがONするとシリンダが前進します。
「M1」がONするとシリンダが前進しシリンダセンサー「X2」がONします。「X2」が入ると「M2」で自己保持をかけ、前進完了とします。このとき「M2」の自己保持条件に「M1」のa接点を入れておいてください。これは「シリンダ前進指令が出ている(M1がON)状態でX2がONしたら前進完了」という条件です。この条件がないと、何らかの原因でX2が入ったとき勝手にM2が動作し、回路の途中から動作してしまいます。このように上から順番に条件を設定して動作させる制御を「歩進制御」といいます。
「M2」がONすると同時に「T0」(タイマー)が動作します。「T0 K5」と設定するとT0の接点が0.5秒後にONします。Kは10進数指定(H指定だと16進数)です。
タイマーの入力方法は「F7」キーでコイルの書込み画面を開き、「T0」と入力後スペースを押して「k5」と入力し、Enterキーを押します。
動作としては、シリンダが前進して0.5秒後に「T0」の接点でワーク確認を行い、さらに0.5秒後に「T1」でシリンダを後退させます。つまりワークの有無にかかわらずシリンダは後退します。
次はワーク検出部分です。シリンダ先端センサー「X3」がONすると「M10」で自己保持をかけ、ワーク検出状態を記憶します。
自己保持の条件にa接点「T0」を入れています。これはワーク確認のタイミング(T0がONした後)のみ検出させるためです。これがないと動作中以外にセンサーが反応しても保持がかかってしまいます。
またb接点「T1」も入れています。T1がON(シリンダ後退開始)したらワーク検出を止めるためです。これがないとシリンダ後退中にセンサーが反応して誤検出してしまいます。
接点を入れる位置によって動作が変わるので注意してください。例えばT1のb接点をT0の右側に入れると、ワーク検出してもシリンダ後退の瞬間に保持が消えてしまいます。
「T1」の接点でシリンダを後退させ、後退端センサー「X1」がONしたら「M3」で自己保持をかけてシリンダ後退完了を確認します。
回路後半と出力部分(ランプ点灯・サイクル完了)
シリンダが後退完了した後の動作です。
シリンダが後退完了すると「M3」がONします。ワーク検出なしの場合(「M10」がOFF)は、「M10」のb接点側の回路が動作して「M4」がONします。「M4」は「M1」の自己保持を切る働きをします。「M1」が切れると「M2」「T0」「T1」も切れ、さらに「M3」も切れてすべての自己保持がリセットされます。これがサイクル完了です。再度「X0」を押すと同じ動作を繰り返します(PLS命令でパルス化しているため押し続けても連続動作しません)。
ワーク検出ありの場合(「M10」がON)は、「M10」のa接点側の回路が動作して「M5」がONしランプが点灯します。そして1秒後に「T2」がONしてすべての自己保持をリセットします。ランプも「M5」が切れることで消灯します。これでワーク検出時に1秒間ランプが点灯するサイクル回路の完成です。
最後に出力回路です。出力部分がないとシリンダも動作しません。
シリンダ前進出力(Y0):「M1」がONするとシリンダが前進します。ただし「T1」のb接点を「M1」の後ろに入れます。「T1」がONした時点で「Y0」がOFFになり、シリンダが後退します。このシリンダはシングルソレノイドのため、出力を切れば自動で元の位置に戻ります。ダブルソレノイドを使う場合は、前進信号を切った後に別途後退信号を出力する必要があります。
ランプ出力(Y1):ワーク検出した場合、「M5」が1秒間ONするため、そのまま「Y1」に出力するだけです。1秒後に「T2」が動作して回路全体がリセットされるため、「M5」も自動消灯します。
これで回路が完成です。今回の回路のステップ数は50未満ですが、実際の設備では1,000〜5,000ステップ、複雑な演算を含む場合は10,000ステップ程度になります。慣れるまでは時間がかかりますが、ショートカットキーを習得して効率よく作業することが上達の近道です。
以上で初級編の解説が完了です。中級編からは用途別に個別の制御テクニックを解説します。
よくある質問(FAQ)
Q. PLS命令とコイル(M0)の違いは何ですか?
A. PLS(パルス)命令は入力の立ち上がり1スキャンのみ出力をONします。コイル(M0)の場合は入力がONしている間ずっとONします。今回の回路ではボタンを押し続けても1回だけ動作させるためにPLS命令を使っています。
Q. タイマーの設定値(K5)の単位は何ですか?
A. 三菱PLCのタイマーは基本的に100ms(0.1秒)単位です。「T0 K5」は0.5秒(5×0.1秒)です。FXシリーズには1ms単位の高速タイマーもありますが、通常のタイマー(T0〜T199)は100ms単位です。
Q. 歩進制御とはどういう意味ですか?
A. 歩進制御(ステップ制御)とは、工程を上から順番に進めていく制御方式です。「前進完了後でなければ次の工程に進まない」という条件を付けることで、工程の飛び越しや誤動作を防ぎます。今回の回路ではM1(前進)→M2(前進完了)→T0(ワーク確認)→T1(後退)→M3(後退完了)という順序で歩進させています。
一応シーケンサとの接続方法などをまとめてみました。余裕があれば読んでおいてください。
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