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歩進制御

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歩進制御は、シーケンス制御のラダー図における最も基本的な書き方の一つです。動作を順番に自己保持させていくことで、決められた順序どおりに機器を動かすことができます。このページでは、歩進制御の考え方から実際のラダー図の作成方法、シングルSV・ダブルSVの出力回路まで、実例を使ってわかりやすく解説します。

作成日:2015年01月10日
更新日:2026年05月26日

歩進制御とは

シーケンス制御でラダー図を作成する場合、書き方は自由ですが、他の人にも分かりやすく書くことが重要です。ここでは一般的な書き方として、歩進制御(ほしんせいぎょ)と呼ばれる基本的な手法を紹介します。

歩進制御とは:動作を順番に書いていき、順番に自己保持させていく制御方法です。一つの動作が完了したら次の動作の条件とするため、決められた順序でしか動作しない安全な制御を実現できます。シーケンス制御の中でも最も広く使われている基本的な書き方です。

言葉で解説するのは難しいため、実際の回路を見ながら理解を深めていきましょう。

動きを決める

回路を作成するには、まずどのような機器がどのように動くかを決める必要があります。ここでは、ユーフォーキャッチャーのようなイメージのハンド装置を例に説明します。ハンドの下にワーク(製品)が来たら、ハンドが下降してワークを持ち上げて搬送するという動作です。

歩進制御 ハンド装置の概要図

このハンドの下にワークがコンベアなどで搬送されてきます。

歩進制御 ワーク到着の状態

ワークが到着したら、透過形センサーが入ります。

歩進制御 センサーONの状態

ハンドが下降してきます。

歩進制御 ハンド下降の状態

ハンドが下降完了したら、ハンドを閉じます(ワークを掴みます)。

歩進制御 ハンド閉(ワーク把持)の状態

ワークを掴んだことを確認したら、ハンドを上昇させます。

歩進制御 ハンド上昇の状態

ハンドが上昇したら、ハンドを右に横移動させます。

歩進制御 ハンド右移動の状態

横移動が完了したら、ハンドを下降させます。

歩進制御 ハンド下降(搬送先)の状態

ハンドが下降したら、ハンドを開きます。

歩進制御 ハンド開(ワーク解放)の状態

ハンドが開いたら、ハンドを上昇させます。

歩進制御 ハンド上昇(搬送先)の状態

ハンドが上昇したら、ハンドを左に横移動させて原点に戻ります。この動作の繰り返しです。次のワークがあれば再度ワークを搬送します。

なお、各動作の「完了確認」にはシリンダセンサー(リードスイッチ)を使用します。また、今回の動作は説明用のため、「フルワーク制御」(排出先にワークがある場合に排出させない制御)などのインターロックは省略しています。

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歩進制御の書き方

ラダー図は下のイラストのようになります。順番に説明していきます。

歩進制御のラダー図全体図

最初の「X0」でワーク検出をします。一度タイマー「T0」にしているのは、センサーが一瞬でも反応しただけでハンドが動作するのを防止するためです。コンベアで搬送されてくる場合、ワークが完全に到着していない状態でハンドが下降しないよう、安定するまでの時間を確保します。

「T0」が入るとワークが到着したということで、「M0」をONし自己保持をかけます。「M0」によって出力「Y0」(ハンド下降)をコントロールします。

次は「X1」(ハンド下降端のシリンダセンサー)が入ると「M1」が自己保持します。自己保持の条件に「M0」が入っていますが、これは最初の工程でハンドを下降させたときにのみ自己保持をかけるという意味です。こうしておかないと別のプログラムや手動操作でハンドを下降させた時にも誤動作してしまいます。

歩進制御のポイント:一つの動作に対して自己保持をかけ、次の動作の自己保持の条件に「前の動作の完了」を設定します。こうすることで順番にしか動作しない一定の動作しかしない安全な制御が実現できます。

このように一つの動作に対して自己保持をかけていき、次の動作の自己保持の条件にするのです。後の回路も書き方は全く同じなので、一つ一つの動作を順番に書いていくだけです。

最後の行の「X6」が入るとハンドがもとの位置に戻り「M8」がONします。「M8」は「M0」の自己保持のb接点条件となっているため、「M0」の自己保持が解除されます。すると連鎖的に「M1」以降の自己保持もすべて解除されます。これが歩進制御の基本的な仕組みです。

補足として、最後の「X6」の代わりに、すべてのシリンダセンサーの原点側をANDで結んだ全原点信号(例:「M10」)を使うと、より安全な回路になります。

出力の書き方(シングルSV)

動作制御の回路だけでは出力がないため、設備は動作しません。次は出力の設定です。ソレノイドバルブ(SV)の種類によって出力回路の書き方が変わります。まずはシングルソレノイドの場合です。

シングルソレノイドの出力回路(歩進制御)

シングルソレノイドとは、ソレノイドバルブに1個しかコイルがついていないものです。「Y0」を出力すればシリンダは下降しますが、「Y0」を切るとシリンダは上昇します。I/O(入出力点数)が少ないメリットはありますが、電気系統の故障時に一気にシリンダが原点に戻る危険性もあります。

出力は「M0」が入ると動作させ、「M2」(ハンド上昇)のb接点で切ります。ワーク搬送先でも同様に「M4」で出力させて「M6」で切っています。このように出力回路を組んでいきます。

出力の書き方(ダブルSV)

ダブルソレノイドの出力回路(歩進制御)

ダブルソレノイドとは、ソレノイドバルブに2個のコイルがついているものです。「Y0」でシリンダを下降させ、「Y0」の出力を切ってもシリンダは上昇しません。上昇させるには「Y1」を出力する必要があります。I/Oが倍になりますが、電気系統が故障しても勝手にシリンダが戻らないため安全性が高いです。ストロークの多いシリンダには基本的にダブルソレノイドを使用します。

出力は「M0」でハンドを下降させたら、下降完了の時点で出力を切ります。上昇させる場合も同じです。

インターロックについて:ダブルソレノイドの場合、上下の出力を同時にすることは厳禁です。「Y0」(下降)の出力回路にb接点の「Y1」を追加し、「Y1」(上昇)の出力回路にb接点の「Y0」を追加します。これでお互いに動作をロックする「インターロック」が実現できます。

よくある質問(FAQ)

歩進制御と普通の回路の違いは何ですか?
歩進制御は各動作を自己保持で順番に保持し、次の動作の条件に前の動作の完了を設定します。これにより、決められた順序でしか動作しない制御が実現できます。順序を強制しない普通の回路では、誤動作のリスクが高くなります。
シングルSVとダブルSVはどちらを使えばよいですか?
安全性を重視する場合はダブルSV(ダブルソレノイド)を使用します。電気系統の故障時にシリンダが勝手に動かないため、特にストロークの大きなシリンダにはダブルSVが推奨されます。シングルSVはI/Oを節約したい場合に有効ですが、故障時のリスクを考慮する必要があります。
歩進制御は後から動作を追加できますか?
はい、追加できます。ダブルコイルにさえならなければ、内部コイルのアドレスの順番に関係なく、回路の間に挿入することが可能です。ただし、アドレスを後から書き直すのは大変なので、最初から余裕を持ったアドレスの使い方をすることをお勧めします。
歩進制御とステップ制御の違いは何ですか?
歩進制御は内部リレー(コイル)の自己保持を連続させる方法です。ステップ制御はデータレジスタの数値を1ずつ増やし、その値に対応する内部リレーをONさせる方法です。歩進制御のほうが広く使われており、初心者にもわかりやすい書き方です。
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