シーケンス制御講座

シンプルCPU通信設定

シーケンス制御講座 中級編 シンプルCPU通信設定

三菱PLCの一部の機種にはシンプルCPU通信設定というとても便利か機能があります。これを使えばCPU同士を簡単な設定で通信させる事ができます。これにより、CPU同士をLANケーブルで接続すれば、I/Oなどを接続することなくビットデバイスとワードデバイスをサイクリックで通信させる事が可能です。

作成日:2023年09月01日
更新日:2023年09月01日


シンプルCPU通信設定とは

三菱PLCでLANポート付きのQ03UDVCPUなどの少し高性能なPLCであればシンプルCPU通信設定というCPU同士を簡単に接続、通信できる機能が簡単に利用できます。

CPU間の通信というのは、簡単にいうと設備間の通信です。PLCで制御された設備はそれぞれQCPUのようなCPUが設備を制御しています。つまりCPU間で通信できるということは、設備間で通信でき、情報を共有できるということです。

例えば”設備1”と”設備2”があるとします。設備1から設備2に何か指令を出したいとき、設備1の出力IOから設備2の入力IOへ配線し、信号を送信できるようにします。

設備1の出力IOから設備2の入力IOへの配線だけだと一方通行になります。設備1から設備2への指令のみとなり、実際に設備2が指令を受けたのか分かりません。また設備2から設備1へ指令を送ることもできません。そこで設備2の出力IOから設備1の入力IOへ配線します。

こうすることで、設備1と設備2は通信できます。ですがIOを実際に配線するのは大変ですし、接続したIOの数だけしか通信できません。数値データや設備状態を通信させようとすると、かなりの数のIO線を接続しないといけません。これは配線する労力も大変ですし、IOユニットも必要になります。そこでLANケーブルだけで上記のような通信ができると、とても便利です。

このようにLANポート同士を接続して簡単に通信させる事が可能です。しかもビットデバイスだけでなくワードデバイスの通信も可能です。

さらにこのシンプルCPU通信設定はCPUが1:1ではなく、1:複数での通信もできます。さらにそれぞれのCPUで設定できるので、大変便利な機能です。

設定方法

内臓EtherNetポート付きのPLCであれば設定はとても簡単です。今回は”Q03UDV”で解説します。

まず最初にPCパラメータを開きます。IPアドレスは設定しておいてください。PCパラメータ内にある「シンプルCPU通信設定」をクリックします。

次のような画面が表示されるので、最初に通信パターンを設定します。

最初は「読出」を設定します。これはこのPLCが他のPLCから読み出す設定です。受信側の設定となります。

すると設定ができるようになります。交信設定はそのままで大丈夫です。これは定期的に読出し動作をするという意味で、読出し間隔は0.1秒となります。

次に転送元を設定します。これは読出すPLCのIPアドレスを入力します。ただし直接入力することができなのでまずは”新規追加”を選択します。

するとIPアドレスを入力できる画面が表示されます。

ここに読出し先(通信相手)の情報を入力します。読出し先の機器にもあらかじめIPアドレスは設定しておいてください。

するとこのように転送元に読出し先の機器情報が入ります。次にビットデバイスとワードデバイスを設定します。

上記のように設定しましたが、この設定の意味は転送元(読出し先)のデバイス「B100」から64点分を転送先(このPLC)の「B0」~に常時転送するという意味です。転送先で「B100」のコイルをONすれば、このPLCの「B0」の接点がONします。「B105」なら「B5」となります。この例では「B」のデバイスを使っていますが、「X」や「Y」でも、「M」でも大丈夫です。

ワードデバイスも同じように設定します。この例では「W」を使っていますが、「D」でも大丈夫です。転送元の「W101」に”10”という値が入れば、転送先(このPLC)の「W1」に”10”が入ります。

出力側も同じように設定します。

この設定は転送元がこのPLCとなります。

これで入出力の設定は完成です。この設定では片方のPLCのみ設定しています。通信相手は何も設定しなくて大丈夫です。もちろん通信相手側でも設定できます。

こんな感じでとても簡単にPLC間同士で通信ができます。使う機会があれば是非使ってみてください。



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