シーケンス制御講座
ロボシリンダーやサーボにアブソリュート仕様というものがあります。アブソリュートとインクリメンタルはそれぞれ絶対値・増分値を意味する言葉で、主にエンコーダの仕様を指します。ここではその違いと、どちらを選べばよいかを解説します。
作成日:2015年01月10日
更新日:2026年05月24日
アブソリュートとインクリメンタルの違い
まず言葉の意味から整理します。アブソリュート(Absolute)は絶対値を意味します。アブソリュートで位置を指定するとは、絶対値で目的位置を指定するということです。例えば「10」と指定すると、現在地がどこにいようが必ず「10」の位置に移動します。何回指令しても同じ位置に移動するのが特徴です。座標の概念に近いイメージです。
インクリメンタル(Incremental)は増分値を意味します。「10」と指定すると、現在地から10だけ増加した位置に移動します。指令するたびに位置が変わるため、同じ方向に積み上がっていきます。三菱PLCの命令「INC」(指定データレジスタに現在値+1する命令)も同じ考え方で、指令するたびに増加するものをインクリメンタルと呼びます。
まとめ
アブソリュート:絶対値指定。何回指令しても同じ位置へ移動する。
インクリメンタル:増分値指定。指令するたびに位置がずれていく。
アブソリュート仕様とは
ロボシリンダーやサーボで「アブソリュート仕様」または略して「アブソ」と呼ぶのは、エンコーダの仕様のことです。エンコーダとは自分が今どの位置にいるかを測定する機器で、モーターが何回転したかを計測します。
アブソリュート仕様のエンコーダは、電源を切っても現在位置を保持できます。そのため電源再投入時に原点復帰をする必要がありません。さらに電源を切った状態でサーボを外部から動かしても、位置を追従して記憶し続けます。
一方、インクリメンタル仕様のエンコーダは電源を切ると現在値を忘れます。電源投入時に必ず原点復帰が必要です。なお現場ではインクリメンタルとはあまり呼ばず、「アブソリュートではない仕様」と表現することが多いです。
IAIのロボシリンダーを例にすると
インクリメンタル仕様:電源投入のたびに原点復帰が必要。原点復帰完了後に原点復帰完了信号がONになる。
アブソリュート仕様:初回の原点復帰完了後は、電源再投入時から最初に原点復帰完了信号がONした状態になり、再度原点復帰する必要がない。
どちらを選ぶべきか
予算に余裕があればアブソリュート仕様を選んでおけば間違いありません。電源投入時の原点復帰が不要になるため、サイクルタイムの短縮や起動シーケンスの簡素化につながります。
「アブソリュート仕様は制御が複雑になる」という話を聞くことがありますが、これはロボシリンダーのメーカー側の内部処理の話であって、使うユーザー側の操作方法は基本的に変わりません。インクリメンタル仕様と同じように扱えます。
特に理由がない限りはアブソリュート仕様を選んでおくのがおすすめです。
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